黄砂の籠城

  

進撃は1冊で、籠城は上下の2冊。


さて、今回は柴五郎中佐と一緒に行動した、櫻井伍長の視点で書かれる籠城側の話。

(厳密にいうと一緒に行動したとかではないのだけど‥)



最初に、ひとつだけ気になることが。

文中にある、日本人として生まれ、育つこと、連綿と繋がった文化とDNA?に自信をもてと。

培って来たものを大切にして。

そんな表現があり、登場人物が語る分には気にならないけど、その他の部分でそう言った言葉が出てくるとちょっと気になった。

この作品を読んだら、そこは充分伝わってくる。

なので、別に書かなくてもいいんじゃないかな〜。と。

近ごろ、こういうお話での、このような文句が溢れているからかもしれない。



それ以外はもう、ほんとうに良かった。

史実、人物に忠実にある程度書かれている?ので、なにも余計な事を言う必要がなく、それぞれの切実さが伝わってくるし、そこから感じとることもできる。


ほんとうに死んでしまうかもしれない、追い込まれた時に、なにが出来るか、なんのために動くことが出来るのか。

その不屈な姿勢はなにから生まれるのか、登場する人々全てを語り、見せる。(おもに柴五郎)

ほんとにここぞいまピンチというところで、さっそうと登場して、さらっとこなす柴五郎は櫻井伍長でなくても、惚れる。(そう書いてるのかな?‥過剰なくらい、かっこいいですよ。褒めてます。)



生い立ちや経験してきたこと、文化もあるかもしれないけども、それをいなし、ただしく発露出来るかはそのひとのちから。ただそれだけだと思う。

その勁さは、どのようにして、養うことが出来るのだろう。


この極限の状態で、自分の為だけではなく、誰かのために選択をされた、全ての方々に敬意を抱かずにはいられません。


黄砂の籠城(上) (講談社文庫)

黄砂の籠城(上) (講談社文庫)