熱源
- 作者: 川越宗一
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2019/08/28
- メディア: 単行本
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2回読みました。
ただ、多くのひとに、読んでほしい。
どうしてそう、思ったのか考えた。
スケールが大きく、その歴史のうねりを描きつつ、翻弄されながらも力強く生きたひとたちの話。
誰もが、経験した事があるのではないだろうか。
ほんとは、これで良いのかな?なんて思いながら、誰かの何かを、蔑ろにしてしまうこと。
大切だと思ってた、自分の何かを、蔑ろにしてしまうこと。
ほんの少し、喉にささったちいさなとげのように、残り続ける違和感。ずっと続く問いかけ。
登場する人達は、そんな気持ちを、容赦なく揺さぶってくる。
彼等は、ただ、私達に押し付けるでもなく、説くのでもなく、闘い続ける。
最初から、最後まで。
どうしてほしいなんて、言わない。
ただ、こうありたいと望み、叫んで、闘って。
どんな理不尽な事が、襲いかかっても。
生きてるから。
‥この熱に、なんど心を揺さぶられたか。
この物語の、実在の人物達、できごと。
その境界線は曖昧だけども、だからこそ、いまに繋がる部分がある。
彼等の軌跡がそこかしこで、確かに感じられる。
だから、愛しい。
決して、誰かをやり込めるのでもなく、
大きなうねりに晒されながらも、両脚を踏ん張って、自分になにが出来るか、それぞれが生きていた。
好きなシーンや、セリフもたくさんあるけど、
ジャガイモと家族を愛してるピウツスキのお父さんが好きだ。根菜先輩も2回め読むと、ご登場お待ちしておりました!ってなる。
でも、やはりこれをあげておく。
「もしあなたと私たちの子孫が出会うことがあれば、それがこの場にいる私たちの出会いのような、幸せなものでありますように。」
物語の熱によって、こんなに美しく、尊くなる言葉があるのかと、噛み締めた。
ただ、あなたと隣り合うときは、私とあなたは、ただの人同士だ。ただそれだけ。なんの、へただりもない。
ずっとずっと。
ヤヨマネクフというひとは、なんていうひとなんだろう‥。
キサラスイのこと、一緒に樺太に渡った、と言ったり、あんなに下手だったトンコリが、2度目の登場では、ものすごく上達していたり。
いつまでも、ピリカって、言ったりね。
樺太でも、彼女が、彼の心なかにいたんだなっていうのがすごく伝わる。
ちゃんと、すくってくれて、ありがとう。(私はキサラスイじゃないけどね。)