熱源

熱源

熱源

2回読みました。


ただ、多くのひとに、読んでほしい。

どうしてそう、思ったのか考えた。

北海道と樺太と、ロシアとポーランド、そして日本。

スケールが大きく、その歴史のうねりを描きつつ、翻弄されながらも力強く生きたひとたちの話。



誰もが、経験した事があるのではないだろうか。

ほんとは、これで良いのかな?なんて思いながら、誰かの何かを、蔑ろにしてしまうこと。

大切だと思ってた、自分の何かを、蔑ろにしてしまうこと。

ほんの少し、喉にささったちいさなとげのように、残り続ける違和感。ずっと続く問いかけ。

登場する人達は、そんな気持ちを、容赦なく揺さぶってくる。



彼等は、ただ、私達に押し付けるでもなく、説くのでもなく、闘い続ける。

最初から、最後まで。

どうしてほしいなんて、言わない。

ただ、こうありたいと望み、叫んで、闘って。

どんな理不尽な事が、襲いかかっても。

生きてるから。

この熱に、なんど心を揺さぶられたか。



この物語の、実在の人物達、できごと。

その境界線は曖昧だけども、だからこそ、いまに繋がる部分がある。

彼等の軌跡がそこかしこで、確かに感じられる。

だから、愛しい。


決して、誰かをやり込めるのでもなく、

大きなうねりに晒されながらも、両脚を踏ん張って、自分になにが出来るか、それぞれが生きていた。



好きなシーンや、セリフもたくさんあるけど、

ジャガイモと家族を愛してるピウツスキのお父さんが好きだ。根菜先輩も2回め読むと、ご登場お待ちしておりました!ってなる。

でも、やはりこれをあげておく。



「もしあなたと私たちの子孫が出会うことがあれば、それがこの場にいる私たちの出会いのような、幸せなものでありますように。」




物語の熱によって、こんなに美しく、尊くなる言葉があるのかと、噛み締めた。

ただ、あなたと隣り合うときは、私とあなたは、ただの人同士だ。ただそれだけ。なんの、へただりもない。

ずっとずっと。


ヤヨマネクフというひとは、なんていうひとなんだろう‥。


キサラスイのこと、一緒に樺太に渡った、と言ったり、あんなに下手だったトンコリが、2度目の登場では、ものすごく上達していたり。

いつまでも、ピリカって、言ったりね。

樺太でも、彼女が、彼の心なかにいたんだなっていうのがすごく伝わる。

ちゃんと、すくってくれて、ありがとう。(私はキサラスイじゃないけどね。)