主に警官と戦艦 佐々木譲



佐々木譲の警察小説が好きだった。
好んで読んだ時期があったので、今更一冊ずつ書くほど鮮明ではないけど、簡単に書いておく。

①笑う警官(道警シリーズ)
②警視庁から来た男
③警官の紋章
④巡査の休日
もとのタイトルは、うたう警官。
私が購入した時は既に笑う警官で、映画化の話題で沸いていた。正直、もとのタイトルの方がしっくりくる。というか、笑うとうたうでは全然意味が変わってくると思うのですが‥(最初タイトルの意味がわからわからなかった。後で、解説か何かの書評を読んで、もとはうたう警官と聞いてようやくすっきりした。)
警察小説っておもしろくて読みやすくて、その後手に取りやすくなったきっかけ。
これは、その後もシリーズが出てる。
①はとてもおもしろくて、それぞれのキャラクターも魅力的だったけど、続刊からあまり興味がなくなってしまったシリーズ。


⑤警官の血 上•下
⑥警官の条件
警官の血はメジャーかな?!メジャーだと思ってますが、上下ハードカバーで購入して読んだ。
それだけ、佐々木譲の警察小説が私の中で熱かった時。
道警シリーズは、ライトでそこそこ奥深く感じで読みやすいけど、警官の血はまさに血のように濃い。親子3代が警察官になった話。
(親子3代と、同期3人の絆の物語。絆が正しいのかわからないけど)
公安との絡みもあり、スタートする時代が、どこか混沌とした怪しい雰囲気があるのでそれだけでも読んでいておもしろい。
第3世代にもなると、さすがに現在の警察小説といった風にはなるけども、解決編(?)として、伏線がようやく回収されていく様子は、それぞれの苦悩を見た後なだけに、肩の荷が下りた気分になった。

警官の条件は、最後の笛の音に図らずしも鼻水とか色々でて止まらなかった。けっこう好きです。


⑦地層捜査
警官の血の怪しい雰囲気が好きなら、楽しめると思う。ただ、事件が痛ましいので、フィクションだとわかっていても、おもしろいとかいうか言葉が使いにくい。


⑧武揚伝  上 中 下
下巻では特に開陽丸や、回天、蟠龍がかわいく見えてくる不思議。(私は、これまでの人生で戦艦好きと思ったことは一度もなかったのですが。)
バンブルビーがかわいく見えるのと同じで‥
それはさておき。
楽しかった警察小説の延長に、同じ作家さんなのでどんなものかと読み始めたけども、読むのが辛かった。
淡々としていて、肝心の武揚もなかなか動きがないからだと。動いてはいるのですが、丁寧に書かれていて、それが読む手を妨げる‥専門書を読んでいるような感覚に襲われ、それが下巻の五稜郭まで続いた。
ようやく山は動き、戦いも終結を迎える。

最後に、佐々木譲の解説を読んだ。
榎本武揚を書くことによって、本人の研究も進み、彼への見方が改められたと。
これを読んで、色々が腑に落ちた。そういうことなんだと思った。つまり、榎本武揚、解説書なのです。
(楡の木は残った‥は、パラダイムをシフトする形だったけど、こちらは史実を淡々と重ねて形成されるものを見るって感じですかね‥。)