アウト&アウト

矢能さんと、栞ちゃんのハートフルストーリー。

(関連作、未読。)


探偵物かと思って読んでみたら、全然そんな事なかった。

探偵物って、気取ったようなイメージがあったのであまり好きではなかったけど、矢能さんのスカッとした性格も相まって、スカッと話も進んでいき読みやすくて面白かった。


探偵さんは、警察の様な手段を持てないので、手段が限られ踏み込めないところにモヤモヤを抱えてしまいがちだったのが、矢能さんの場合は経歴も相まってガツガツ踏み込んでいく風に書かれていたのが爽快。


とはいうももの、最初に書いた通り、栞ちゃんと、矢能さんと、おばあちゃんの、ハートフルストーリー。(良い意味で‥)

‥ところで、なんでこれだけ、こんな生々しい数字が表示されるのだろうか。わからないことだらけだ。

アウト & アウト (講談社文庫)

アウト & アウト (講談社文庫)

黄砂の進撃

黄砂の進撃、もちろん籠城も読むつもり満々でまずはこちらから。


流を読んでから大陸の歴史物にも興味が出だした。‥正確に言うと、蒼穹の昴を読んだ時からちょっと潜んでいた‥。

歴史にも詳しくないし、正しい知識もないので、全くの読書感想文になることは、見ての通りです。

ただ、圧倒的な意思の大きな渦が起こす、流れや勢いというのはまさに龍と言い得て妙で、中国という国はすごい力を持った国だというのが感じられるお話でした。


義和団事件について、義和団側からの視点で書かれている。

書かれている人物は史実や実際にいた人ですとの記載があり、それにより面白みが増していると思う。

公使側の中心人物として柴五郎が登場。合間合間にしか出てこないが、ほんと少しの登場なのに彼の存在感の大きさが異常。(私は、柴五郎が何者なのかこの時点でまったくわかってませんでした。)読中も読後も人物として気になってしまうのは書き方が上手いのか‥柴五郎のせいなのか‥。


同じ事が日本で起こったとしたら、と考えたりもしたが、このようになると想像はしかねた。

やはり、中国の、文中にもあるけれども、漢民族のなせる大きなうねりなのかと思い至ると、文化や人となりの違いは大きなものだと大変感慨深く、またその違いに新鮮味をも持って読む事が出来た。


作中で、主人公が(張)義和団のリーダーではなくなった時、李と話した内容が心に残った。


黄砂の進撃 (講談社文庫)

黄砂の進撃 (講談社文庫)


直木賞受賞作品


本屋さんに並んでいてずっと気になってた本。

帯が青春小説とコピーがあったため、もやもやした文学的な内容かと思っていたので、そのギャップもあったかと思う。

もっと早く手に取れば良かった。(つまり、とてもおもしろかった)


いままで読んだこととのない、自由な文体で最初から新鮮だった。勢いもあって、どんどん読めた。

国が違えば感性や、重要に考えることも違い、その違いも楽しめる作品だった。


台湾、中国と、あまりきちんと歴史を知っていなくても、問題なく、知ってたらもっとおもしろく読めるのだろなとは思う。

大陸の話は、なんでか独特の怪しさがあって村上春樹のねじまきどりクロニクルを思いだしたり。(ただ連想しただけ。)

でもその背景はとても、重要な要素の一つだったけど。


主人公の私の飾らない性格も、楽しかった。

兄弟の兄弟はまた兄弟な家族に愛されて育った小さな男の子が、大人になるまで、そうか、こうして大人になっていくんだな、とわかりやすく、楽しく(背景を考えると、おいそれとは楽しいと書いて良いのかわからないけど‥)


流 (講談社文庫)

流 (講談社文庫)


南極風、還るべき場所

 笹本さんの山岳小説

どちらも良かった。南極風のほうが、荒れ狂う雪山に追い込まれる臨場感がすごい。

読んでいて、迫力と、全てが削り取られていく焦燥と、それでも一歩ずつすすんで行く、意志ではないのかもしれない、突き動かされるその感覚。


自分はきっと体験しないであろう、雪山への憧れが相まって、極限に挑み、一途に山と向き合う人に敬意を持たづにはいられない読後感。


南極風には、ミステリーな要素もあり、山岳小説素人の私には、その要素のおかげで読み進め易かった。

ただ、それ以外の山部分も魅力で、いつか行ってみたいなと思わずにはいられなかった。


還るべき場所

これは、内容を書くとネタバレ?になってしまいそうなのであまり書かないですが、会長の人柄‥決断力がとても痺れますよ。

主役の用な存在感で主役でないところが、また良かったかと。


南極風 (祥伝社文庫)

南極風 (祥伝社文庫)