かたづの!

 

良かった‥

こんな歴史小説もあるのかと、思ったし、読めて良かった。



愛があるのは、語り手がねねさまの事を、愛しているからだと思うのですが、

それが人ではない視線から見るので、重苦しくなり過ぎず、率直で素直な様子が可愛く感じてしまう時もあり、時として、その感性に悩む様子もあり‥。


時折挟まれるかたづのの羚羊としての営みが、のびのびと、種差の砂浜や野山を駆け回り、妻を愛して、と生きる様が‥なんと美しいのかと。

儚さと、煌めきが織り込まれて、本筋とは違うところでなんとも言えない、胸の震えをを覚えた。岩手のあの美しい景色が目に浮かぶ。


歴史小説なのだと思うけど歴史小説のセオリーにとらわれない、暖かさが溢れて、それは舞台が遠野、岩手とみちのくだったからなのか。


手塚治虫の漫画や、銀河鉄道の夜の様な、人ではないものの世界観から人の世を見る不思議。

それが、実際の出来事とその世界の出来ごとと、上手く当てはめられて、おもしろく、楽しめる。






個人的に、岩手に旅行をした機会があり、

私は関西に在住だが、あのなんとも言えない浪漫が漂う、みちのく。

また行きたい!次は、遠野だな!と心に決めた作品でした。


かたづの! (集英社文庫)

かたづの! (集英社文庫)